指定講演

指定講演(第33回日本小切開・鏡視外科学会)

第33回日本小切開・鏡視外科学会(2020年7月11日〜12日、北海道大学呼吸器外科教授 加賀基知三 会長 完全web)の指定講演でオンライン発表しましたタイトル“内視鏡下胸腺摘除術 一出血時の胸骨縦切開へのコンバートの重要性を説くー”の内容を発表スライド順に解説します。

内視鏡下胸腺摘除術 ー出血時の胸骨縦切開へのコンバートの重要性を説くー

講演内容

内視鏡下胸腺摘除術は非浸潤性胸腺腫や重症筋無力症(MG)の拡大胸腺摘出の標準手術になった。本手術手技の最大の難所は胸腺静脈の左腕頭静脈からの切離である。私が経験した本副損傷例と他施設で失血死した同2例を検証し胸骨縦切開へのコンバートの重要性を説く。全例仰臥位で本手術を23年間350例以上に施行し左腕頭静脈損傷は5例(胸腺腫3例、MG2例)。本損傷初回例は胸腺腫適応3例目で胸腺非定型カルチノイド。右VATSからのアプローチ時に左腕頭静脈本幹を損傷。胸骨縦切開へコンバートし止血。出血量は900mlで術後輸血施行。2例目はMG適応20例目で術後帰室後に出血し胸骨縦切開で止血。出血量は1100mlで輸血施行。他3例は同出血で胸骨縦切開を行い止血。出血量は500ml以下で輸血は施行せず。他施設の失血死2例は胸腺腫例。術中ビデオ記録が確認できず手術所見では、いずれも左半側臥位、右VATSで手術が開始され左腕頭静脈を損傷、止血できず側胸、前方開胸へコンバート。止血できず次に1例は同肋間から、1例は1肋間上位に上げ胸骨をそれぞれ横断。止血できずさらにPCPSが開始され心臓血管外科医の応援を得て1例は胸骨縦切開を追加し初回出血から50分後に止血、1例は初回出血から110分後に止血。いずれも低酸素脳症で術後3日目と1年後に死亡した。内視鏡下胸腺摘除術の左腕頭静脈からの出血時には猶予ない胸骨縦切開へのコンバートが必要である。

【学会発表】

1. 利益相反の開示

【学会発表】

2. 内視鏡下胸腺摘出は拡大胸腺摘出の標準手術になった

【学会発表】

3. VATS-Tの最大の難所

【学会発表】

4. VATS-Tの左腕頭静脈損傷

【学会発表】

5. 胸骨吊り上げ法について

【学会発表】

6. 左腕頭静脈からの出血

【学会発表】

7. 胸腺非定型カルチノイド(胸腺腫適応3例目)

【学会発表】

8. MG(MG適応16例目)

【学会発表】

9. 他3例

【学会発表】

10. 男性、症状なし、検診発見 ※レントゲン写真

【学会発表】

11. 胸腺腫 (5.2cm)右胸腔鏡下手術 ※CT写真

【学会発表】

13. 手術から死亡までの経緯

【学会発表】

14. 男性、症状なし、胸腺腫(3.1cm)※CT写真

【学会発表】

15. 手術から死亡までの経緯

【学会発表】

16. 内視鏡下胸腺摘除術の左腕頭静脈からの出血

【学会発表】

プロフィール

1951年生まれ。
1977年 北里大学医学部医学科卒業、
同年大阪大学第一外科医員。
大手前病院、奈良県立医科大学、大阪医療刑務所病院法務技官、国立呉病院、大阪府立病院、大阪警察病院呼吸器外科部長、大阪警察病院呼吸器外科客員部長、聖授会OCAT予防医療センター所長を経て現職。
1997年世界で初めて胸骨をつり上げた胸腺の内視鏡下手術を開発。
1999年内視鏡下手術の安全性をより高めるために、ハンドアシストを併用した胸腔鏡下手術法を発表。
重症筋無力症や縦隔腫瘍に対する胸腔鏡下手術の第一人者。
日本呼吸器外科学会終身指導医・特別会員、日本外科学会認定医、日本胸部外科学会終身指導医、日本小切開・鏡視外科学会設立理事、日本医師会認定産業医。

手術・医療相談

全国の医療施設で診断されました肺腫瘍や胸腺腫瘍の患者さんの画像再診断や今後の手術(内視鏡下手術)のご相談を行っています。すでに確定診断されました重症筋無力症患者さんの内視鏡下手術治療法のご相談も行っています。画像再診断や手術法のご相談を承っています。

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